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ブエノスアイレスの地下パーティから生まれ、2008年に設立。10年以上にわたってラテンアメリカ音楽の最前線に立ち、古典的なリズムやフォークロアの伝統に未来的な(そして、しばしばエレクトリックな)スピンをかけるアーティストたちのための空間を切り拓いてきた要所〈ZZK Records〉から、エクアドルのグループCrvzlomaのデビューEP『Mitos & Ritos』(神話と儀式)が登場!インバブラ州のボンバ・デル・チョタとサン・ジュアニートを中心とする儀式音楽、ウジャジやアネツと呼ばれるシュアール民族の神聖な祈りやアヤワスカやツァン・ツァの儀式にエレクトロニカ、グローバル・ベース、デンボウをフィーチャーしたミックス。それは神秘主義、ジャングル、ダンスフロアが重なり合う領域であり、エクアドルの伝統音楽の過去、現在、未来との対話を通したコンテンポラリーかつフューチャリスティックな音楽的アイデンティティの探求ともいる内容!
UK名門Peckingsからの12インチシリーズの5作目は、Skatalitesのオリジナルメンバーでも知られるトロンボーン奏者偉人Don Drummond(1932-1969)の、代名詞的キラーナンバーであるLast Callをリメイク!! 80年代にはJah Shakaのリミックスで注目を集めましたが、ベテランDJ Ranking Joeフィーチャーした今回の再録音も緊張感溢れるキラーな仕上がり。

ウガンダの首都カンパラを拠点とする、世界各地のオルタナティブなエレクトロニック・ミュージックやエクスペリメンタル系を自由に追求するレーベル〈Heat Crimes〉による、ボーカルとシンセを担当する台湾系アメリカ人のオードリー・チェン、オーストリア出身のドラマー、ルーカス・ケーニッヒ、そしてフランス人ギタリスト、ジュリアン・デプレからなるMOPCUTの3作目『RYOK』。本作は3人それぞれが、声、リズム、動きという「身体性」を剥き出しにしてぶつかり合う、ノイズ、ジャズ、即興演奏、ロック、ミニマリズム、サウンドアート、パンクといったジャンルの境界を完全に溶かしてしまうような、バンド史上もっとも自由で大胆なアルバムになっている。冒頭からフリーキーな音の応酬が繰り広げられ、ゲスト参加のdälekのラップやMoor Motherのポエトリーとも強烈に融合。ミニマルな緊張感から爆発的なノイズ、瞑想的なドローン、インダストリアルなハードスタイル風リミックスまで、即興と構築、混沌と秩序、身体性と幻覚的な感覚を自在に行き来する、圧倒的に生々しい音の旅!
伝説的バンド、The Pyramidsの結成50周年を記念して、2024年2月の黒人歴史月間にサンフランシスコの著名な会場であるThe Labで行われた「アンダーグラウンド・ジャズ・キャバレー」の音源がリリース!サンフランシスコの著名な俳優、活動家、作家であるダニー・グローヴァーと、著名な舞台女優ローデッサ・ジョーンズをフィーチャーした当録音では、Idris Ackamoorと、The Pyramidsのメンバーを含む彼のオーケストラによる新旧の作品に加え、2人をスポークン・ワーズで迎えた「Grandma Cole Story」や、「China Lane Suite」、また、グローバーのオリジナル作品である「In God's Country」など様々な楽曲が収録されている。

1940年タブリーズ(イラン北西部)に生まれ、シャンソンタイプの歌曲の作曲から始まりその後映画界に進出し、数々の人気テーマの作曲家として名声を博したアルメニア人作曲家ハムレット・ミナシアンの1979年作『Armenian Pop Music』が〈Numero Group〉よりリリース!アルメニア民謡のオリジナル声楽曲やオーケストラ編曲も手がけ、ロマンスやバレエの作曲も数多く手がけているハムレット・ミナシアンのソロ作は、ユーロのアティテュードとアルメニアの伝統的な歌をハイブリッドさせ、異次元を思わせる長く催眠的なプロト・ハウスで、中東の忘れ去られたダンス・ミュージック文化の証と言える傑作!
Puce MaryやLana Del Rabiesらと並ぶ、慟哭するインダストリアル/ノイズ女帝Pharmakon。久々となる5枚目のフルレングス・アルバム『Maggot Mass』が、USインディ最大の聖地〈Sacred Bones Records〉より登場!邦題にして『蛆虫の塊』と訳される本作は、環境や他の生命体と人類の機能不全な関係に対する深い嫌悪感から生まれた作品。力強いエレクトロニクスとノイズに根ざした実験的な要素を保持しつつ、インダストリアルおよびパンクの影響を取り入れた、実に強烈なパワエレ作品!

オハイオ州シンシナティのレーベル〈Chiefdom Records〉による〈Terrestrial Radio〉シリーズからの第3弾!生々しくソウルフルなインストゥルメンタル・ヒップホップ・サウンドを生み出してきた同地在住のプロデューサーであり、90年代のラップグループ「MOOD」の元メンバーでもあるJason Grimezの変名Doctor Bionicの最新アルバム。「オーガニック・グルーヴ」とも説明される音楽性が素晴らしく孤高な、ヒップホップやジャズ、ファンクなどを横断したメロウデリックで麻の香りに満ちたインストゥルメンタル・フュージョン傑作です!


UK・ウェイクフィールド出身のアーティスト、Pretty Vによる初となるフル・アルバム『Destiny of Illusion』が、昨今大人気のBianca Scoutも作品を発表していた南ロンドンの〈life is beautiful records〉よりフィジカル限定でリリース!プロデューサーaloisiusとの完全共同制作による、ローファイな質感と実験的な構成が特徴的な作品であり、ジャンルを越境するサウンドと、自己表現への強い意志が感じられる一枚。デジタル配信無しとのこと!Dean BluntやMount Kimbieのファンにもレコメンドしたい、現代UKアンダーグラウンドの注目作。
中東地域のネットカルチャーとグローバル・ベース/クラブ・ミュージックの接点を捉え続けてきた〈HEAT CRIMES〉から、注目のコンピレーション『REEL TALK - BEST OF DOUYIN TRACKS』が登場。中国のショート動画プラットフォーム「抖音(Douyin)」上で流通したサンプリング音源やクラブトラックをキュレートし、カットアップ、スクリュー、トランス、スピードコア、トラップ、アンビエントまでを雑多に飲み込む全20曲。ネット特有の速度感と無作為さ、そして奇妙なエモーションが交錯する、デジタル以降のサウンド・アーカイブとしての一枚。カルト的人気を誇るシリーズ最新章。

ドキュメンタリー制作や展覧会キュレーションなど幅広い表現活動で知られるViolence Gratuiteによる初めての音楽作品『Baleine à Boss』が入荷できました!ウガンダの首都カンパラを拠点とする、東アフリカの伝統的な音楽と現代の電子音楽を融合させた現行のアンダーグラウンドで革新的なサウンドを世界に紹介するレーベル〈nyege nyege tapes〉のサブ・レーベルである〈Hakuna Kulala〉からのリリースで、本作もフレンチ・ポップ、ラップ、ノーウェーブ、エレクトロニクスの混淆とも言える独自の世界!パリ郊外育ちで、ブルターニュとカメルーンにルーツを持つ彼女は、文化的バックグラウンドを反映させながらも、フレンチ・ポップ的なメロディー、トラップやグライムから影響を受けたビート、そして幽玄なヴォーカルを自在に行き来しながら展開。トリッキーやリジー・メルシエ=デクルーらに通じるダークで不穏な空気を漂わせつつ、ダンスホールやカリブ音楽のリズムも取り込むなど、常に予測不能な流れを作り出している。ポップとアヴァンギャルドの狭間で揺れ動く、自由奔放で多層的な作品!!

ウガンダの首都カンパラを拠点とする、世界各地のオルタナティブなエレクトロニック・ミュージックやエクスペリメンタル系を自由に追求するレーベル〈Heat Crimes〉による、ハンガリー系トランシルヴァニア出身Réka Csiszérの2作目のソロアルバム『Danse des Larmes』。本作は、子ども時代の孤独や無意識のトラウマをテーマに、東欧の民謡、インダストリアル、ダークアンビエント、古いホラー映画音楽を溶かし合わせた、身体と精神の境界があいまいになるような、幽玄で冷たいサウンドスケープ。デビュー作『Veils』に続き、演劇や映画、オペラへの関心を滲ませつつ、今回はより個人的な記憶と未来的なビジョンを交錯させている。冒頭の「Eden X」では、うめくシンセと聖歌のような声が溶け合い、不穏な世界に誘我、続く表題曲では、歪んだフォークの要素が顔を出し、夢と現実の境界を揺さぶる。ハンガリーの巨匠Mihály Vígへのオマージュも含まれ、彼の曲をエーテルのようなドリームポップに再構築している。全編を通して、トラウマや過去の記憶が幻想的に変質していくような、暗く湿っていながらも不思議な美しさに満ちたアルバムとなっている。
10年以上にわたってエクスペリメンタル・ラップの世界で独自の道を切り開いてきたロンドン生まれ・ブリストル拠点のラッパー/プロデューサーThisisDA。ジャズ・コレクティヴSumo ChiefやKlein、Eyedressとのコラボを通じて、ジャンルにとらわれず自由なスタイルを追求してきた彼の探究心の結晶のような作品『Fast Life』が、ウガンダの首都カンパラを拠点とする、世界各地のオルタナティブなエレクトロニック・ミュージックやエクスペリメンタル系を自由に追求するレーベル〈Heat Crimes〉より登場!本作ではドリル、グライム、エレクトロ、トラップといった要素を自在に横断しながら、型にハマらないサウンドを展開しており、〈Hakuna Kulala〉のビートメイカーDebmasterや、ウェールズ出身のシンガーMimi Jonesとの共作を含みつつ、全体を通してThisisDAの軽妙なワードプレイと強烈な個性に貫かれている。ミニマムでアブストラクトなビート、力強くも繊細なラップ、ソウルフルなオートチューン、さらにはサウスのネオン光るサウンドまで取り入れた今作は、ヒップホップの枠を大きく飛び越えた意欲作と言える一枚!

『Clube da Mariposa Mórbida』は、サンパウロ拠点のDIYアーティストAkira Umedaと、ウガンダはカンパラを拠点とするレーベル〈Nyege Nyege Tapes〉 周辺で活動するMetal Preyersがコラージュ的に作り上げた、異文化横断型のエレクトロ・アコースティック作品。南米のファンク、ノイズ、実験的なシンセ、民族楽器などが錯綜し、現実と仮想、過去と未来、デジタルとアナログの境界が曖昧に。収録曲では、倒錯したブラジル・ファンクや壊れた寺院の鐘、電子的なミュージックボックスなど、さまざまなサウンドが交錯する。二人のコラボは、Metal Preyers側が送った音の断片やコンセプトを、UmedaがGoogle翻訳を駆使しながら解釈し、自らの直感に基づいて印象を音にしていった。Umeda はそれを「粘土細工のような幽霊の成形作業」と語っている。従来の「第4世界音楽(Fourth World)」よりもさらに異次元的な夢幻世界。

1999年から東アフリカのアンダーグラウンド・シーンで活動を続けてきたMC YallahことYallah Gaudencia Mbiddeの最新作『Gaudencia』が〈Nyege Nyege Tapes〉のサブレーベルであり、東アフリカやコンゴのアンダーグラウンド・エレクトロニック・ミュージックを世界に紹介する〈Hakuna Kulala〉より登場!プロデュースは前作に引き続き、ベルリン拠点のフレンチ・ビートメイカーDebmasterが全編を担当。アフリカでしか考えられないようなマイクさばきとジャンルを超えたビートが完全に融合し、アフリカン・ヒップホップの枠組みすら軽々と飛び越える内容に仕上がっている。Yallahは英語、ルガンダ語、ルオ語、スワヒリ語を自在に行き来しながら、ラップ・歌・アドリブを織り交ぜる多言語かつ多面的な表現力で、より深く、自身の内面と音楽観に潜り込んでいる。20年以上かけてようやく自分の"信徒"を見つけたというMC Yallahの言葉どおり、『Gaudencia』は彼女の音楽人生の集大成であり、アフリカン・ラップの未来を指し示す予言の書のようでもある。破壊的で、精神的で、唯一無二な一枚。
ウガンダ・カンパラのアーティスト、Catu Diosisによるデビュー作『Anyim』が〈Nyege Nyege Tapes〉のサブレーベルであり東アフリカやコンゴのアンダーグラウンド・エレクトロニック・ミュージックを世界に紹介する〈Hakuna Kulala〉から登場!アフロハウス、Batida、Kuduroといったアフリカン・ダンスミュージックの要素をベースにしつつも、そこから大胆に逸脱していく異形クラブ・ミュージック集。振付師やMCとしての経歴、さらにRian Treanorとの共演などを経て完成させた本作は、東アフリカのクラブ・サウンドを軸にしながら、変則ビートと声のミニマリズム、そして身体性を融合させた強烈な一作。踊り手としての鋭いタイミング感覚と、プロデューサーとしての自在な逸脱が随所に見られ、Kuduroの推進力を土台にしつつ、グルーヴは常に崩れ、再構築され、定型に落ち着くことはない。生々しく、それでいて極めて洗練されたサウンド。前衛的ダンスミュージック!

ブラジル・ベロオリゾンテのファンク・シーンに革新をもたらしたプロデューサー、Anderson do Paraísoのアルバム『Queridão』が、ウガンダの首都カンパラを拠点とする〈nyege nyege tapes〉より登場!彼は、ダウナーでミニマルな「ベロオリゾンテファンク」の中核的存在で、2010年代半ば、ベロオリゾンテの路上パーティ「Baile do Serrão」に通うようになったことで作風が大きく変化し、リオのファンクをベースにしながらも、スローでリバーブが効いたビートや不穏な空気感を取り入れた独自のサウンドを確立した。本作の楽曲ではクラシカルな要素(ピアノ、バイオリン、ソプラノコーラス、ティンパニなど)と電子音(トラップのハイハットやロボット音)を融合しており、特に「Blogueira Que Virou Puta」や「Chama as Sua Colegas」では、静けさや緊張感を使って官能と恐怖が交錯するようなムードを演出している。この幽玄で実験的なファンクはTikTokやストリーミングでも注目され、ジャンルの新たな可能性を切り開いている。

オランダ・ロッテルダムのDJ Shaun-Dによる、バブリングからダッチ・ハウスへの進化を辿るコンピレーション・アルバム『From Bubbling to Dutch House』が、〈Nyege Nyege Tapes〉よりリリース。本作には、1990年代のスピードアップされたダンスホールを基盤に、エレクトロ・ハウス、トラップ、B-More、レイヴなどを融合させた、シュリルなシンセとシンクロペーションが特徴の全10曲を収録。初期の代表曲"Pull Up"や"XXXmachine"から、未発表の新曲
Outta Control"、"Ultra Instinct"まで、DJ Shaun-Dのキャリアを網羅した内容となっています。

NET GALAの〈Hakuna Kulala〉からのデビューアルバム『Galapaggot』は、ノイズとクラブミュージックの境界を曖昧にしながら、ダンスフロアにも通じるエネルギーを秘めた奇妙な傑作。本作は韓国のプロデューサーであるNET GALAがShade SeoulというLGBTQコレクティブや、ソウルの有名クラブCakeshopなどでキャリアを磨きながら培った、型破りなダンスサウンドの集大成で、2019年の初EP『[re:FLEX*ion]』や、2021年に〈SVBKVLT〉からリリースされた『신파 SHINPA』で磨いたドラマティックなアプローチをさらに押し広げ、今回はより自由で無秩序な実験を展開している。フットワークやボールルーム、グラインドコア、ハードトランスといった音楽の要素をチラリと覗かせながら、韓国語のゲイ・スラングを叫ぶ曲や、ベトナムのアーティストとコラボしたトラックもあり、アルバム全体がカオスでパワフル。笑いや皮肉も交えながら、「普通」に収まらない自分たちの居場所を音で表現するような一枚。

オランダのMarien Van Oersによるソロ・プロジェクトHet Zweetによる1983年リリースのセルフタイトルのカセットが、世界各地のオルタナティブなエレクトロニック・ミュージックやエクスペリメンタル系を自由に追求するレーベル〈Heat Crimes〉よりリイシュー!手作りの楽器を使い、原始的かつ儀式的なサウンドを作り上げた本作は、反復とドラムを軸にしたサイケデリックでプリミティブな音世界。タイトルのHet Zweet=汗が示す通り、ただのループではなく、持久力を試すような集中力を要求する音楽になっている。収録曲は4曲で、冒頭の「Vocus」は、スロウなチャントと不気味な音像が重なる、ドゥーム・メタル的な暗さを持つトラック。続く「Tribus」は、手作りパーカッションが前面に出たトライバルなビートに、不穏な声のレイヤーが加わる儀式音楽のような仕上がり。アルバム後半はさらに深みを増し、「Tribus」では歪んだビートと奇妙なノイズが交錯し、「Indus」では15分近くにわたるドラム・パフォーマンスと静かなヴォーカル・マントラが展開される。インダストリアル、ダークアンビエント、ニューウェーブ的な要素を持ちつつ、古代儀式の再解釈とも言える雰囲気の一枚。
ポルトガルの実験音楽家ジョナサン・ウリエル・サルダーニャが、ウガンダ拠点のコンゴ人合唱団 Kingdom Ulfame Choir と手を組み、声とスピリチュアリティの関係に深く迫った『Kembo』が、ウガンダの首都カンパラを拠点とする〈nyege nyege tapes〉より登場!言語以前のコミュニケーションやグロソラリア、宗教音楽の伝統を踏まえつつ、リンガラ語やスワヒリ語、フランス語などを混ぜた“想像上の言語”で自由に歌われる即興のコーラスは、サルダーニャのさりげない電子処理によって神秘的なトランスへと昇華されていく。荘厳で浮遊感あるオープニング「Boya Kotala」から始まり、緊張感あるパルスと複雑なリズムが絡む「Tokumisa Nzambe」、ゴスペル的な高揚が炸裂する「Hosana」など、楽曲ごとに表情ががらりと変わるが、全体を通して浮かび上がるのは、“声”というプリミティブな表現が持つ霊的な力。言語、宗教、歴史、音楽、それぞれの境界を溶かしながら、「声とは何か」を探究する作品。
コンゴ出身でカンパラを拠点に活動する若手DJ&プロデューサー”Oyisse”が、アフリカ版〈PAN〉ことウガンダ産エクスペリメンタル・ミュージックの牙城〈Nyege Nyege Tapes〉傘下の〈Hakuna Kulala〉の始動させたホワイト・ラベル・シリーズからデビュー!アブストラクトなエレクトロニクスから南アフリカの暗黒ハウスこと”GQOM”、トラップ、中央アフリカの音楽、コンゴの歌謡までもが、未来的なイマジネーションの中で融合を果たしたアヴァンギャルドなエクスペリメンタル・エレクトロニック・サウンドを全4曲収録。
1960年代末にバイエルンで結成された、リンペ・フックスとポール・フックス夫妻によるデュオAnima Soundによる、ローゼンハイム市立ギャラリーで行われた未発表セッションを収録した『Baummusik』。彼らの活動は、単に音楽グループというには広く、自給自足の生活を営み、既存の楽器を拒み、自らの手で音を発生させる音具をつくり出し、即興的に響きを組み立てていった。その実験精神は、当時のドイツ前衛にあっても際立った孤高のもので、本作でも使用されるのは、通常のドラムセットに加え、鉄片や金属板、弦を張った金属輪、フックスホルン、ペンデュラム弦、チューブドラムなどの自作楽器。これらを打ち、擦り、弾き、空間内での響きや共鳴を積極的に取り入れた演奏を通して、静的なアンビエンスと動的なパーカッションが交互に展開し、各音の響きが互いに影響し合うことで、演奏空間全体が統一された音響として立ち現れてくる。Anima Soundの音楽はクラウトロック、サウンドアート、フリージャズ、前衛音楽の交差点に位置付けられるが、本作における演奏は、特定のジャンルに分類することの難しい二人の創造的対話と音響装置の記録というべきもので、ポールとリンペが言う「本物の音の組み合わせを見つける」試みが鮮烈な印象を残す一枚。
