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シンガーソングライターのM. Ward、Giant SandのHowe Gelb、アイルランドのマルチ・インストゥルメンタリストMcKowskiによるコラボレーション・プロジェクトのデビュー・アルバム『Geckøs』。友人の結婚式での偶然のセッションをきっかけに、そのままアリゾナ州ツーソンでのレコーディングに発展。帰国後もそれぞれの拠点でアイデアをやり取りしながら制作を継続し、最終的にアイルランド、ロンドン、ブリストルのスタジオで録音を重ね、プロデューサーのJohn Parishによるミキシングでアルバムとして完成した。音楽的には、アメリカ南西部のダスティなアメリカーナを基盤に、スペイン音楽に由来する装飾的なギター、ケルト音楽風のたゆたうようなメロディやモーダルな響きが重ね合わされている。穏やかでドリーミーな質感を保ちながらも、即興的なやり取りから生まれる予測不能な展開が随所に顔を出し、三者それぞれの個性が交差する国境を超えた魅力が漂う。叙情的な歌声と緻密で繊細なアコースティック楽器の響きが溶け合う、フォーク、アメリカーナ、ヨーロッパの民俗的な要素を横断するアルバムとなっている。

ジェブ・ロイ・ニコルズがフィンランドの名門〈Timmion〉からリリースする『This House Is Empty Without You』は、南部ソウルの伝統に根差しながらも、彼独自の語り口と温かな声で仕立てられた一枚。バックはお馴染みのハウス・バンドCold Diamond and Minkで、深いグルーヴとアナログ感に支えられ、アルバム全体が穏やかで滋味深い空気を放っている。収録曲は何気ない口調の裏に、陰影あるアレンジが潜んでおり、さらにエミリア・シスコのゴスペル感漂うハーモニーが加わり、いっそう奥行きのある仕上がりになっている。過剰な演出を避け、真実だけを静かに伝えるようなこのアルバムは、今もなお成長し続けるソングライター、ジェブ・ロイ・ニコルズの現在地を示している。時を超えて沁みるソウルの真髄を今に伝えるような充実作。

ニューヨーク出身のシンガー・ソングライターでありプロデューサーWanda Feliciaによる、フィンランドの名門〈Timmion Records〉からリリースされたデビューアルバム『Now Is The Time』。バックを務めるのはレーベルのハウス・バンド、Cold Diamond & Minkで、Feliciaはニューヨークのハウスやアシッド・ジャズの影響を受けた深みある歌声で、現代的な感性とクラシックなヴィンテージ・ソウルを融合。 70年代ソウルの温もりと洗練されたグルーヴがアルバム全体に漂っている。心地よさと内省的なメッセージや感情の深さも併せ持った、ソウル・ファンはもちろん、ジャズやR&Bリスナーにも訴える、時代を超えて響く、現代ソウルの新たなスタンダード。

Silver Mt. ZionやBlack Ox Orkestarでの活動を経てきたモントリオールのヴァイオリニスト/作曲家、ジェシカ・モスのソロ作の中でももっとも静謐で内省的な一枚。初めてアンビエントと呼べる領域に踏み込んだ作品だが、いわゆる抽象的なアンビエントではなく、ポスト・クラシカル、ドローン、ミニマリズム、メタルやパワー・エレクトロニクス、フォークの要素が交錯する、ジャンルを横断する音世界になっている。ヴァイオリンの旋律を重ね合わせ、エレクトロアコースティック処理や断片的な声を織り込みながら、The Necksのドラマー、トニー・バックのパーカッションを交えて構築されるサウンドは、祈りや儀式のような緊張感と、喪に服すような抑制を帯びている。Radwan Ghazi Moumneh(Jerusalem In My Heart)と共に制作し、アルバムは「わたしたちの生きているうちに、自由なパレスチナを」という献辞とともに掲げられている通り、Jessica Mossがこれまで培ってきたドローン/クラシカル/フォークの美学が、もっとも瞑想的で政治的に強いかたちで結晶した作品。
ジャパノイズ巨匠 Merzbow こと秋田昌美と、米国ノイズの中心人物 John Wiese による初のスタジオ共同作品『Akashaplexia』。3時間を超える新曲を収録した4CDボックスセットの大作で、Merzbow特有の金属的ジャンクノイズと、Wieseの構造的で緻密な音響デザインが交錯。4枚のCDはそれぞれアルバム長の作品として独立しつつ、全体で壮大な流れを形成している。John Wieseによるデザインの豪華装丁とともに、両者のノイズ美学を極限まで突き詰めた、25年以上にわたる交流の集大成的アルバム。

シアトル拠点のDJ/アーティスト Raica こと Chloe Harris が Jo Johnson のレーベル〈Silver Threads〉からリリースしたサード・アルバム『If Not Now, When』。ドローンやアンビエントを基盤に、IDM的なリズムやテクノ的な推進力を融合。ノイズ、残響、シンセの断片が重なり合い、1stアルバム『Dose』に見られるサイケデリックな没入感とアンビエント的な微細さが併存している。Jo Johnsonと並ぶ形で現行アンビエント/IDMシーンに新たな潮流を提示する一枚。

UKのアーティスト Jo Johnson が自身のレーベル〈Silver Threads〉の第一弾作品としてリリースした2枚組アルバム『Alterations Volume One』。ドローン、パッド、アルペジオが重なり合い、メロディックなモチーフが変化する風景を描く、アンビエントとテクノの境界を探りながら、日常の断片や偶発性を音楽に取り込むような音楽性。アルバムは、2025年1月から6月にかけて、社会的に困難な状況の中で少しずつ断片を作り、公開していったその積み重ねをまとめたもので、フィールドレコーディングや偶然の音を集め、日常生活の中で少しずつ音楽を紡いだ。一気に完成させるのではなく、時間をかけて音を寝かせ、変化や偶発性を取り込みながら形にしていく、スローな音楽。CD1にはオリジナル曲5曲、CD2にはそのリワークやフィールドレコーディングを用いた「Remnants」7曲を収録。

作曲家/プロデューサー、フクゾノヤスヒコのソロプロジェクト、aus(アウス)のニューアルバム『Eau(オー)』。奥野楽の演奏する「箏」を全面的にフィーチャーし創作した、ausの魅力的な方向転換といえる美しい作品。
思慮深く展開する繊細な技巧、展覧会や実験映画のための魅力的なサウンドデザインで、国内外から篤い支持を受けるアウスは、これまでキーボードやエレクトロニックサウンド作品を主に手がけてきました。本作『オー』は、依然としてエレクトロニックサウンドでありながらも、日本の楽器の中で最も特徴的な弦楽器のひとつである箏の音世界を軸に展開する、アウスの魅力的な方向転換といえるアルバムです。繊細でありながら豊かな数々の箏のフレーズと音色は、非常に才能豊かな演奏家、奥野楽(おくの・えでん)が担当。アウスは作品解説の中で、このプロジェクトにおける奥野の演奏とその芸術の重要性を称賛しています。
『オー』収録楽曲は、箏の微妙に変化するアタック、揺らめく響きの音色と、他の楽器の音色のバランスをとるようにデザインされています。箏の繊細な減衰と韻律の柔軟性は、持続的なシンセサイザーの音色と対位法的に構築されたピアノの旋律に包まれ、引き込まれるような底流と、物憂げで流動的な質感を伴う流れるようなアンビエンスを生み出しています。
箏の現代史をみたとき、日本のコンテンポラリー音楽の愛好者は『オー』を聴いて、沢井忠夫がリアライズした吉村弘作曲作「アルマの雲」(1979年)、箏の演奏グループKoto Vortex(コト・ヴォルテックス)が同じく吉村弘の作品を取り上げたアルバム『Koto Vortex I: Works by Hiroshi Yoshimura』(1993年)を思い出すかもしれません。どちらも箏を伝統から引き剥がし、アンビエント~テクノの文脈に配置しようとした先駆的作品で、それらは『オー』にも影響を与えています。また、諸井誠の『和楽器による空間音楽』といった70年代日本の現代音楽作品も『オー』の影響源となっています。
フィジカル版にはアウスによる日本語・英語解説付き。ジャケットデザインは橋本麦、マスタリングは大城真が担当。CD/LP/カセット/デジタルで発売し、CD・デジタル版とLP版はジャケット違いとなります。本作はレーベル《FLAU》とエム・レコードの初のコラボレーション・リリースとなります。
Matthew Herbertとの共作も大人気なロンドンを拠点に活動するプロデューサー、ソングライター、マルチインストゥルメンタリストであるMomoko Gillの待望のデビュー・ソロ・アルバム『Momoko』。ジャズ、ソウル、エレクトロニカ、実験音楽が交差するサウンドで、 Matthew Herbertとの共同制作や、Shabaka Hutchingsらを迎えた50人規模の壮大な合唱を取り入れるなど、多彩なコラボレーションが光る。自らドラム、キーボード、ボーカルを手掛ける彼女の音楽は、既存の枠に囚われないブロークン・ビート/ニュー・ジャズ的なスタイルを持ち、また、彼女の声は語りと歌の間を漂いながら、母との関係やアイデンティティの探求といった個人的な感情やテーマを、自身の日本・アメリカ・イギリスにまたがる経験を反映した音楽的言語で、内省的でありながら普遍的な物語へと昇華している。フィールドレコーディングや環境音も取り入れた、ジャンルを超えた表現と、詩的で繊細な構成が特徴の、妥協のないデビュー作品。

アメリカ西海岸の5人組グループSMLによる実験的ジャズ作品『How You Been』が〈International Anthem〉から登場。メンバーはJosh Johnson(sax, electronics)、Anna Butterss(bass)、Jeremiah Chiu(modular synth, live sampling)、Booker Stardrum(drums, percussion)、Gregory Uhlmann(guitar, effects)という、各々が作曲家やプロデューサーとしても活躍する精鋭たちで、このアルバムは、2024年から2025年にかけて行われたライブ演奏を録音し、それを素材にしてスタジオで再構築したもの。事前の打ち合わせなしに即興で始まった演奏を、後から丁寧に編集・加工することで、ライブの生々しさとスタジオ作品としての完成度を両立させている。前作『Small Medium Large』で見られた、メンバー全員が対等にアイデアを出し合いながら、細部までこだわって音を作り上げるスタイルが、さらに洗練された形で実現している。音楽的には、ジャズを軸にしながらも、アフロビートや電子音楽、ポストロック、アンビエントなどが混ざり合っており、即興演奏の自由さとスタジオ編集の緻密さが融合した、現代ジャズの新しいかたちを提示する作品として、聴くたびに異なる側面が立ち上がるような奥行きのある一枚となっている。
フィラデルフィアのアンサンブル Sounds of Liberation の中心人物としても知られるヴィブラフォン奏者 Khan Jamal が1974年にリリースしたスピリチュアル・ジャズの名作『Give The Vibes Some』が〈Souffle Continu Records〉より再発!ヴィブラフォンとマリンバによる浮遊感ある響きと、ドラムとトランペットを交えた自由度の高い即興が共存。フランスの音楽家 Jef Gilson が主宰したPalm Recordsのスタジオで録音、Gilsonはヨーロッパのアヴァン・ジャズシーンを牽引した人物であり、その美学が作品にも反映されている。スピリチュアルな雰囲気と、フリージャズ的な開放感を兼ね備えた名盤。
スウェーデンの電子音楽家 Mokira こと Andreas Tilliander が2000年に〈Raster-Noton〉から発表したデビュー・アルバム『Cliphop』が〈iDEAL Recordings〉からリマスター再発。2000年代初頭のクリック音やデジタルノイズを素材にした実験的電子音楽Clicks & Cutsの潮流を象徴、デジタルの断片、ビットクラッシュ、ノイズをリズムやテクスチャとして活用している。反復的で削ぎ落とされた構成の中に、微細な変化や空間的広がりを感じさせる一枚。今回の再発では、音質をブラッシュアップし、現代的な解像度で再提示している。


2024年11月末、冥丁は、別府市制100周年記念事業の一環として、温泉文化をテーマにした滞在制作に招かれ、別府を訪れた。
「失日本」シリーズで知られる冥丁は、忘れ去られた日本の時代や風景を音として再構築する表現で注目を集める音楽家。今回の制作では、海辺に佇む築100年の旅館「山田別荘」の蔵に約1週間半滞在し、雨水が火山岩に染み込み、癒しの湯となって地上に戻る循環に耳を澄ませた。その結果生まれた作品『泉涌』は、温泉文化の内なる精神をたどるものである。
冥丁は竹瓦温泉、坊主地獄、へびん湯、そして山田別荘の内湯や貸切湯など別府の象徴的な温泉地を訪れ、泉源の音、泥の泡立ち、噴気孔の響き、竹林を渡る風、湯を楽しむ人々の会話などの環境音を丁寧に録音した。これらのフィールドレコーディングとその深い聴取体験を楽曲の音の土台とし、立ちのぼる湯気や体感した湯加減の塩梅までも音として描き出そうと試みている。
この作品は、一連の楽曲として展開し、硫黄と火山岩の風景の中を湯気のように漂っていく。坊主地獄に潜む狂気、山田別荘の内湯に響く幽玄な残響、苔むした竹瓦温泉の風情の中で交わされる日常の語らい。そうした断片が静かに織り込まれている。そこには水の静けさや土地に宿る記憶、そして代々ここで湯に親しんできた人々への深い敬意が込められている。
『泉涌』は、失われた日本の記憶を主題とする冥丁の探求を継承しつつ、新たな領域に踏み込んでいる。別府の風土や記憶を音 で巡礼するかのように、リスナーを深い没入体験へと誘う。マスタリングはStephan Mathieuが担当。また、本作は「失日本」 プロジェクトの新章『失日本百景』の幕開けを飾る作品。このシリーズでは、現代の生活の中でひっそりと息づく「憧憬の残る場」を探求していく。

フィンランドを拠点にブックデザイナーとして活動するジョン・ハバードが、1989年に自主レーベルStrength Through Joyより限定50部で発表した伝説的プロジェクトVogelscheiß Und Seine Verrückten Krötenの唯一音源を初復刻。1988年のヨーロッパ旅行でスティーヴン・ステイプルトンに会い、その後アーヘンを訪れクリストフ・ヒーマン、アンドレアス・マーティン兄弟と共に行なった謎多きセッションの記録がここに解禁。
小杉武久やPierre Henry、Come Organisationのタイトル等も手掛けてきたJos Smoldersがリマスタリングを担当。
CD版にはLP版とは異なるクラフト紙のジャケットを使用。色合いや質感が異なります。限定200部。

ギリシャ正教の聖地アトス山に伝わる典礼音楽のフィールド録音と、それにインスパイアされた現代の楽曲を収めたコンピレーションCD『Athos: Echoes from the Holy Mountain』。前半は現代のアーティストがアトス山の聖歌の神秘的なエッセンスを、ダブや実験的サウンドも交え、電子音楽やアンビエントに昇華。後半は1960年代から今日までの修道院でのオリジナル録音を収録。祈りと瞑想に用いられるビザンチン聖歌の荘厳で静謐な響きがそのまま伝わる。現代の音楽と聖歌を並置することで、むしろ聖歌により深く触れることができるような重要な一枚。

英国の音響作家RapoonことRobin Storeyによる1994年発表の、アフリカのパーカッションとアジアの弦楽器を融合したトライバル・アンビエントの傑作『Cidar』が未発表音源3曲を追加、リマスタリングを施されて再発。アフリカの打楽器とアジアの弦楽器をサンプリング、加工し、深い残響と民族的リズムが交錯。旋律よりも質感と空間性を重視し、見えない風景を描くようなアプローチで、フィールドレコーディングや環境音も織り交ぜて、リバーブやディレイを多用したどこか遠くから響いてくるような断片が重なる。瞑想的かつ幻視的な時間が漂うエスノ・アンビエントの金字塔。

ジュネーブ民族学博物館で開催されたサウンド・エキシビションのために制作された、西洋中心的な博物館学や音楽民族学の言説を解体することを目的としたコンピレーション『Afrosonica』。KMRU、高田みどり、Yara Mekawei、Mo Laudiら4名のアーティストが参加し、アフリカ社会とディアスポラにおける音楽の役割を探求、サウンド・アート、フィールド録音、電子音楽、民族音楽が交差する実験的な構成で、各曲が異なる文化的視点を提示している。KMRUはケニアの都市音を素材に、環境とアイデンティティの関係性を探るアンビエント作品を展開。 Yara Mekaweiはエジプトの宗教的・政治的文脈を背景に、音の構造を通じて社会的メッセージを表現。 Mo Laudiは南アフリカのポエトリーとクラブ・ミュージックを融合し、身体性と抵抗のリズムを刻む。高田みどりは日本の打楽器と電子音響を融合し、共同体、儀式、記憶、抵抗といったアフリカ的な音楽の役割を、異なる文化圏から再解釈している。アフリカ音楽とは何か?を固定的に定義するのではなく、離散と再構築というディアスポラ的視点から音楽の意味を問い直す、現代的なサウンド・エスノグラフィーの記録。

この録音は、京都と大阪間を結ぶ京阪、JR、阪急線の発車メロディーからインスピレーションを得ています。これらの音のモチーフは、まず探求され、次に私たちの集合的記憶のプリズムを通して変容され、1時間のライブパフォーマンスに結実しました。これは記憶の機能に関する私の研究を延長するものです。私たちの記憶は現実に忠実なのか、それとも個人的な物語に適応した再構築なのか?

Art into Lifeが2015年にリリースしたAnne Gillisの5CDアーカイヴボックス。リリース10年周年を記念し新たなパッケージデザインの2ndエディションを制作。彼女の1994年インスタレーション作品”Tultim”のフォトをあしらったブラックボックス仕様にて限定300部。新たにポートレート・カードが付属。
日常的でシアトリカルな音制作、及びパフォーマンスを80年代前半に開始したフランスのManon Anne Gillis。最初期83年のDevil's Picnic名義の作品から、2005年のインスタレーション/展示記録までを網羅した初のアーカイブ音源集。(CRI)2、DMA2、Rangehenからの全出版LP & CDアルバム、唯一の他者との共作である盟友G.X. Jupitter-Larsenとの7インチ、1999年までのコンピレーション提供音源(オリジナルマスターを紛失した一部を除く)、初出となる11の未発表マテリアルを纏めた5枚組CDボックス。美しき閉鎖のイメージで満たされた濃密なコンテンツ。
全トラックICRのコリン・ポッターによる2015年リマスタリング。オリジナルアートワークを使用したディスクスリーヴ、貼箱仕様、20ページのブックレットが付属。
![Anne Gillis - Eyry] (CD)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/0041435277_10_{width}x.jpg?v=1762673618)
80年代よりプリミティブなシステムにて楽曲制作を継続して来たManon Anne Gillis。自身の声、呼吸、言葉、楽曲を素朴な手法にて繋いだ9thソロアルバム。「私のサウンドはコンセプチュアルなものでは無く、理解するよりも感受しその中へ入り込むことの方がずっと大切である」と語る様に、音を触覚的な感覚で捉えた10作品で構成。語りや歌声を不鮮明な異音や変則的な反復として、またリズムトラックへと落とし込み、新たな内的世界を作り上げている。
マスタリングはMaiko Okimoto氏が担当。CD版は限定200部。

1973年にバンクーバー美術館で開催された音響彫刻の展覧会"Sound/Sculpture”。この展示のオーディオカタログとして1975年に出版された、音響彫刻に関する重要書籍"Sound Sculpture”の編集者であるJohn Graysonと米コンポーザーDavid Rosenboom監修によるブックレット付きLP作品[The Sounds Of Sound Sculpture]。この分野のパイオニア的存在であるBaschet兄弟、Sonambientシリーズで知られるHarry Bertoiaの有名彫刻をDavid Rosenboom、John Graysonらが演奏した稀有なテイクや、60年代からキネティック彫刻の創作に着手したStephan Von Hueneの希少な録音、ニューヨークのサウンドアーティストDavid Jacobsの重厚な空気圧システムなど、視覚的にも惹きつける歴史的音具の記録を写真や資料と共に網羅。
David Rosenboomによる2024年リマスタリング音源を収録。12ページブックレットが付属。

民族音楽学や人類学、宗教、歴史を専門に研究、人間の文化的な多様性、またその重要性を記録し独自の発信を行なってきたオランダの出版社Sound Reporters。ここより1988年にカセットフォーマットにてリリースされた、エーゲ海キクラデス諸島の一つであるギリシャ領”アモルゴス島"のフィールドレコーディング。数年間現地に居住していた画家Harry Van Essenがサウンドスケープを収集、Sound Reportersの創設者であり民族音楽学者のFred Galesがミックスを担当した共同作品。島の北東部に位置する港”エギアリ”近辺のサウンドをスケッチ的に結合、前半部では海の音と大衆音楽が交互に流れ、詩の朗読、漁船の音、ボードゲームを楽しむ人々、祝宴の会場と、人々の生活に根差した音風景が展開。村を通り抜け山へ登る後半部では人々の日常風景に加え、コオロギの鳴き声、ミツバチの羽音、放牧された大量のヤギが奏でるカウベルなど、島本来の素朴な環境が現れる。
リマスタリングはGiuseppe Ielasiが担当。
